映画「ぐるりのこと」は、「夫婦」を続けようという気持ちにさせてくれる映画

いい映画に出会えました。
いいものを観ると、誰かに話したり、書いたりしたくなります。
映画「ぐるりのこと」のこと。

映画のタイトルが絶妙です。
「ぐるりのこと」。
子どもを失って、心が壊れてしまった妻の翔子(木村多江)。そんな妻に、戸惑いながらも、淡々と接していく夫のイサオ(リリー・フランキー)。

重くて辛い夫婦の時間が流れていくわけです。

いいかげんな男で、自分の考えを表に出さない人間に描かれているのだけれど、妻のところから逃げださない、そんな男なのです。

夫婦の「ぐるり」(まわり?)には、俗っぽい兄夫婦やけだるい母親や、生きるのが面倒くさいという同僚やら。
夫の職業が「法廷画家」という設定もまた、「生きる」こととか「人と関わる」ということの意味を問いかけていて、観客を最後までひきつけます。

社会を騒がせたあの事件やこの事件を想像させる被告人たちが、カメラを通して迫真の表情で観客に訴えてくる。「自分」「人との関わり」「生きること」「他人を消すこと」・・・・。

被告人たちの顔、俗っぽい家族たちの顔を豊かに描きながら、しだいに妻が心を取り戻していくのですが、日本画に打ち込むようになった静かな妻の顔が美しい。

それを見つめるイサオ。法廷画家という、ギリギリの人間の顔を描く一方で、妻の幸福な満ち足りた顔をデッサンする。
イサオもまた、翔子によって自分の職業に意味を見いだし、生きる力をもらっていくような、そんな最後になっています。

撮影現場では、リハーサルに大量の時間とエネルギーを費やしたとありましたが、それがあるためか、ひとつひとつのシーンに登場人物の背景や価値観、メッセージが込められているんです。
ですので、全体としてはわかりやすく、いたるところに、監督さんの観る人に対するサービス精神が入っている映画です。

橋口亮輔監督の作品。
この監督さんのことは、私は前作も観ていません。
ですが、素晴らしい才能だと感じました。

これは本では表現しにくく、映画の映像ならではです。
映画を熟知し、映画の良さを最大に生かしたとてもいい映画だと思います。
おそらく多くの映画賞を授賞するのではないでしょうか。

日本映画は洋画にくらべるとイマイチと思っている人も、たまには、上質な日本映画はどうでしょうか。
観てきた人、感想くださいね。


"映画「ぐるりのこと」は、「夫婦」を続けようという気持ちにさせてくれる映画" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント